開明史観(京極純一)の問題

前代は未開野蛮、今は文明開化、これは明治維新、戦後に共通した歴史観であることを京極純一は鋭く指摘した。

『平和の代償』のなかでこれを読んだとき(学生時代)、その鋭さにいたく感心した覚えがある。今、考えてみると、次のような違いがあることに気が付いた。

江戸時代ー明治維新 軍国時代ー戦後民主主義 の違いである。
江戸時代は国家としての「日本」を意識しない分権的時代であった。しかし、明治維新を経て軍国時代は「日本」を意識、過剰に意識する時代であった。

従って、江戸時代に住んでいた人たちは敗者として特に喪失感はあっても復古を主張するネタはなかったのである。一方、軍国時代に生き、戦後に違和感を持つ人たちは旧い「日本」に固執する形になる。