市の新年度予算案 一般会計6094億円

負の遺産』解消へ大幅増 東京新聞【神奈川】2008-2-13


 川崎市は12日、2008(平成20)年度の当初予算案を発表した。一般会計は、前年度比10.3%増の約6,094億円。大幅増は“塩漬け”状態だった川崎区水江町の土地を再取得するための費用などを計上したため。市税収入の増加や行財政改革の進展で財政基盤が安定化する中、「負の遺産」の解消が中心の予算編成となった。 求められる不断の改革
<解説> 今回の予算編成では、水江町用地の問題解決にめどがついたことが大きい。“塩漬け”にせざるを得なかったのは、土地の使用目的を限っていた国の法律改正を待つ必要があったからだが、市が「負の遺産」の解決に、力をつぎ込むだけの体力をつけてきたという背景もある。

 2002年の財政危機宣言から6年。市の財政は着実に回復してきた。「地味」ともいえる堅実な予算編成をしながら、行財政改革を最重要課題として、人員削減などを実行。08年度予算案での行革効果は「プランを立てた当初の累積目標額510億円を約70億円上回っている」とする。

 市税の伸びという追い風も大きく貢献している。景気回復による企業収益の増加や人口増の恩恵で、底を打った04年度に比べると、市税は約340億円増えている。

 ただ、景気の先行きは再び不透明になってきた。人口増といっても、その分、保育環境の整備などに掛かる負担も大きくなる。高齢化の進展により、生活保護などに掛かる扶助費も年々、増加し続けている。

 市の財政フレームでは、減債基金を取り崩して歳入を補う「非常手段」を使うのは今回が最後。09年度以降は、基金に手を付けず収支均衡を図るとしている。ところが市の収支見通しでは、マイナス40−50億円ほどは施策の見直しなどで調整し、ひねり出さなくてはならない。

 人口に対する市の職員数は、15政令市中で5番目に多く、人件費が高水準にあるなど行革の余地は残っている。阿部市長が名付けた「再生スパート(加速)予算」のように、不断の改革が求められている。