松田選手考(1)サッカー選手の健康管理

今年、横浜マリノスから戦力外通知を受け、JFLのチームに移籍していた松田選手が練習中に倒れ、その後、死亡した。急死である。

筆者の少年サッカーコーチの仲間で、50歳過ぎで急死した方がふたりいる。二人ともにサッカー指導の後の会合の席でのことであった。ひとりは小学校の教員の方、長年にわたってサッカーの指導をされていた。もうひとかたは、日本リーグの出場経験もある技量の持ち主である。想い起して、改めて冥福を祈る。

あるとき、親しくしている医者の方に、何故急死なのか、と尋ねたことがある。その時、本当の急死は考えにくい。おそらく体に何らかの予兆があったはずで、それを軽視すると危険だ、また、周囲を気にして我慢していることもある、少なくてもそのいずれかがあるのではないか、心臓疾患に気が付かなくて死亡した例も少なくないが、と答を聞いた。

予兆とは?それは感じた人にだけわかるもの、複合的疲労の蓄積あるいは不摂生の蓄積、プラスアルファの何か…。

そして更に、体力に自信のあった人、それは現在もある程度続いているとの過信につながり、認識と現実に実はギャップがある人になりがちだ。そんな答が続いた。

この最後の話は身につまされた。

少なくともサッカー選手を自認する人は、松田選手は自らの健康管理に失敗したと冷静に受け止めるべきなのだ。それが平凡ながら最大の教訓だ。

ビスマルクの言葉を借りれば「賢者は他人の経験に学ぶ」である。

しかし、マスメディアは相変わらずのロマンティックなストーリーのもとで、死と一連の儀式を取り上げている。それに釣られてか、何の検証もなく、死んだ故に、英雄視する人たちも現れている。

AEDの設置?
それよりも何よりも大切なのは「健康管理の自己責任」のはずである。それは健康診断だけでなく、飲みすぎ、食べ過ぎ、夜更かしのたぐいでもある。