永井陽之助氏の愛弟子?どちらが?管直人氏対渡辺嘉美氏

永井陽之助氏の愛弟子ではない、結論的にはどちらも。両者共に永井政治学の本質を射ていないからだ。但し、二人とも自ら愛弟子とは言っていない。新聞が勝手につけた言葉だ。したがって、本当の結論はこれを紙面に取り上げた産経新聞の責任者が何もわかっていないということだ。

以下、経緯から…

久しぶりに会った友人のブログで「永井陽之助まな弟子対決 2010-11-04」を知った。 http://blog.goo.ne.jp/bongore789/e/3cf1f43403f7bcaee628156230017c8f

その間の事情は、「永井政治学の再構成へ向けて」で書いたので、参照頂きたい。
 http://d.hatena.ne.jp/goalhunter/20110206

それは管直人氏対渡辺嘉美氏の国会対決であり、渡辺嘉美氏は大学時代にもぐりの学生として永井氏の授業を聞いていたそうだ。
 管直人氏は筆者の2学年上、渡辺嘉美氏は4学年下で両者に挟まれているわけだから、その違いを理解できるかもしれない。

さて、何を巡っての対決か、新聞を探ってみると、
菅首相の所信表明詳報(7)「『現実主義』基調の外交を推進」2010.6.11産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100611/plc1006111416022-n1.htm
私は若いころ、イデオロギーではなく、現実主義をベースに国際政治を論じ、「平和の代償」という名著を著された永井陽之助先生を中心に、勉強会を重ねてまいりました。

渡辺喜美 2010/10/27 「覇権主義」と「力の均衡」
http://www.nasu-net.or.jp/~yoshimi/2010/101027haken.html
菅首相東工大学生の頃、政治学を教わったという永井陽之助教授は、その頃、何と言っていたか。
文明の中心地域という世界観(中華思想)をもつ中国は、覇権主義大国を目指す。一方、日本が望みうる恐らく唯一の国際秩序は、「力の均衡」体系である。中国を含めた多角的な「力の均衡」体系をアジアにおいて形成するという政治課題は、日本に与えられた大きな使命である、と説いている(「エコノミスト」1968/1/2、「多極世界の構造」中央公論社所収)。

菅直人氏からは「現実主義」、渡辺嘉美氏からは「力の均衡」がキーワードとして浮かんでくる。当時の揺れ動く国際情勢のなかで、永井氏から何を学んだのか、「現実主義」という立場と、「力の均衡」という概念を取り出しても、必ずしも“永井政治学”を理解したということはできない。

「現実主義」も「力の均衡」も共に永井氏の立場や考え方を表してはいるが、「現実主義」はどこにでもあるし、「力の均衡」も基本的な国際政治な考え方である。

すなわち、永井政治学の本質を表している言葉ではない。

要するに両者共に愛弟子ではないのだ。