川崎市長選 これまでの経緯・衆院選挙後

3日間連続で「川崎市長選」について経緯も含めて現状をまとめた。
本稿は9/21に若干変更した。趣旨に変わりはない。
川崎市長選 これまでの経緯・衆院選挙前
http://d.hatena.ne.jp/goalhunter/20090919
川崎市長選 これまでの経緯・衆院選挙後
http://d.hatena.ne.jp/goalhunter/20090920
川崎市長選 9/21現在の立候補者と各政党の態度
http://d.hatena.ne.jp/goalhunter/20090921

 昼飯時にネットニュースをチェックし、地方自治川崎市に関連するニュースをクリップする。これを月ごとにファイルにしている。今回、そこから市長選関係の主なニュースを引き出しながら経緯と問題点を洗い出している。
 話は変わるが、小学生のときは給食を食べる早さでクラスのトップをいつも争っていた。多少食べ終わりの人数が揃うと当番に「ごちそうさま」を言わせて、校庭にダッシュする。この習慣は習性にまで高められ、今はネットニュースの収集に活かされている。大切なのは子どもの頃の習慣つくり…!?

 衆院選挙における明確な国民の選択地方自治体首長はどう応じるのか。
 阿部市長は豹変のあげく、コロコロと態度を変えるという不可解な選択を行なってしまった。イソップ物語の“コウモリ”のように、である。

川崎市長、10月市長選へ「政党政治とは区別」 2009/08/31 カナロコ
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivjaug0908828/
 阿部孝夫市長は会見で、「今のところは無所属で政党政治とは区別した形で地方自治を守りたい」と述べた。』
 
 選挙直後、
 「各政党と一線画し、等距離を保つ」と言っていたが、民主党が独自候補をアナウンスすると、これまで密接に協力し、本選挙でも推薦に動き出している自公を無視して態度を一変、
 「民主党の単独推薦を希望」、しかし、民主党に袖にされるや、
 「単独で市民党で出馬」と開き直り、最近は
 「自民党公明党に謝りたい」と言い出す始末。
 各紙(自民党発言を含む)はこれを、
 無節操(自民党―Tokyo web)、背信自民党―読売)、変節(自民党カナロコ)、
 変心(毎日)、態度一変(asahi.com)、変身(カナコロ)と表現している。
 
 民主党が公募した段階ではそれに応募できる条件は阿部氏になかった。すでに自民党が支持を表明し、それに対して阿部氏は等距離を表明しているからである。当然、民主党に対しても同じはずである。更に民主党は等距離のまま距離を縮め相乗りになるのを明確に拒否しているからである。
 
川崎市長選で民主は独自候補擁立へ/川崎 2009/09/04 カナコロ
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivsep090976/
 民主党川崎市支部協議会、自民、公明両党と相乗りをせず、独自候補擁立の方針を確認した。笠会長は「民主が阿部氏を推薦する場合は、自民、公明が後から推薦を出す『後出し』を受け付けない」と述べた。』

 そうであれば民主党、特に連合系以外の議員は独自候補を具体的に抱えていると考えるほうが妥当である。公式的には白紙と言わざるを得ないが。一方、連合系議員もそのことは知っているはずだから阿部氏に民主への擦り寄りという“変節”を迫ったとも推察できる。
 
『3選を目指す現職が民主党単独推薦を希望/川崎市長選 2009/09/07 カナロコ
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivsep0909160/
 阿部孝夫氏は「民主党単独推薦で立候補したい」との意向を明らかにした。「民主党が相乗りを駄目だというなら、民主党とは戦いたくない。」と述べた。』
 
 ともあれ、信頼関係を壊し、かつ、市民に対する説明責任も果たさず、自らの当選だけのために変節したと言われてもしかたのない行為である。政策や立候補どころではなく、人間性を疑われるまでに至っている。

 ここでようやく民主の具体的候補者が明らかになり、一気に話は終結へ向かう。

『民主の福田県議が浮上/川崎市長選 2009/09/09 カナロコ
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivsep0909210/
 民主党の福田紀彦県議(37)が8日、候補者として浮上した。同党関係者によると、同県議の擁立を求める声が地元で上がっているという。』
 
 福田県議は川崎市の国会議員、県会議員、市会議員の中では若さ、経歴、風貌からして第一の候補者であることは誰も異論はなかろう。特に北川早大教授のマニフェスト運動に関わっているところが他の議員と異なる経歴になっている。この段階で、浮上するということは先にも述べたように、内部でほぼ決まっていたことを意味している。

『市長選候補2氏と面談 民主選定 大詰めに 市総支部協多数決は『福田氏』
2009年9月11日 Tokyo Web
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20090911/CK2009091102000092.html
 民主党川崎市支部協議会は、同党単独推薦を希望している現職の阿部孝夫氏(65)、候補者公募に申請した同党県議の福田紀彦氏(37)と横浜市内で面談。続く協議で、多数決により、福田氏を候補者に推薦することを決めた。』

 一方、阿部氏はここでまた姿勢を変えて元の「等距離」に戻る。或いは戻らざるを得ない。これを「市民党」と呼ぶべきか、「阿部私党」と呼ぶべきか、見方が分かれるであろう。

川崎市長選 民主、福田氏推薦へ 2009年09月12日 asahi.com
http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000909120005
 阿部氏は11日、「連合は推薦してくれている。すべての政党と距離を置いたまったくの無所属で、市民党という形で選挙に臨みたい」と述べ、引き続き立候補への意欲を示した。』

 これで収まり、問題は反転して自民・公明の態度ということになるが、その前に例によって造反騒ぎが控えていた。

 中原区に三菱、富士通NECと大企業の事業所がある。そのなかで、三菱出身の潮田氏が「連合」のくびきで阿部支持を表明したのである。但し、市民への明確な説明はなく、これまでの選挙がそうであったように取り巻きだけの話である。
 
民主党市議が現職市長を支援、分裂選挙か/川崎 2009/09/13 カナロコ
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivsep0909335/
 民主党の潮田智信市議会議長は12日、民主推薦の争奪戦で福田氏に敗れた現職の阿部孝夫氏(65)を支援する意向を明らかにした。阿部氏は連合神奈川の推薦を受けており、潮田氏に続き連合系議員の一部も同調するとみられ、民主の分裂は必至の状況だ。』

 自民党は候補者探しを行なっているが、マスメディアには何も浮上していない。杉山県議が自民党を離れて立候補するということであったが、これは説明も定かでないまま本人が取りやめてしまった。
 
『杉山県議が出馬断念/川崎市長選 2009/09/15 カナロコ
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivsep0909390/
  川崎市長選で、無所属で出馬する意向を表明していた自民党の杉山信雄県議は出馬を取りやめることを決め、関係者に伝えた。』

 残るは自民と公明の態度である。独自候補がいて、連休後公表と常識的に考えられるが、よもやの阿部氏謝罪受入れもあり得ないことではない。何でも有りの世界である。

『「変身」川崎市長に自民党が決別宣言 2009/09/14 カナロコ
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivsep0909386/
 民主、自民両党は市議会本会議の代表質問で、阿部孝夫市長の政治姿勢をただした。衆院選まで「政党政治とは距離を置く」と発言してきただけに、阿部氏の「変身ぶり」に批判が集中した。自民党の林氏は「この議会、そして選挙戦でも戦うことを表明する」と、阿部市政との“決別宣言”で締めくくった。』

『阿部市長「義理を欠いた、自公に謝罪したい」/川崎 2009/09/17
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivsep0909488/ 』

 以上がこれまでの経緯である。完全には終息していないが、選択肢ができたことによって選挙の要件は出来たと考えて良い。

                                                                                                • -

メルマガ 探検!地方自治体へ 第100号 09/9/13
川崎市議会改革・請願3件提出〜住民自治の視点〜」
http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/ine_mm.html
HP 川崎市議会への関心を広げる市民の広場
http://www.k4.dion.ne.jp/~kmk-head/

                                                                                                • -