川崎市長選 これまでの経緯・衆院選挙前

3日間連続で「川崎市長選」について経緯も含めて現状をまとめた。
本稿は9/21に若干変更した。趣旨に変わりはない。
川崎市長選 これまでの経緯・衆院選挙前
http://d.hatena.ne.jp/goalhunter/20090919
川崎市長選 これまでの経緯・衆院選挙後
http://d.hatena.ne.jp/goalhunter/20090920
川崎市長選 9/21現在の立候補者と各政党の態度
http://d.hatena.ne.jp/goalhunter/20090921

 ネットニュースからこれまでの経緯と問題点を示す。神奈川新聞(カナロコ)を主として、東京(Tokyo web)、毎日、朝日(asahi.com)、読売、産経、及び地域報道のタウンニュース、多摩川新聞である。

 阿部市長は早くから「三選まで」と公言していたから後はその正式表明までに誰が名乗りを上げるのかである。岡本氏の正式表明はタイミングをみてできるだけ早く体制を整えようとの狙いがある。しかし、意外性が全くないため、インパクトはほとんどなかった。

『岡本一氏が出馬表明/川崎市長選 2009/02/18 カナロコ
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivfeb0902459/
 前回市長選に出馬した岡本一氏(63)が無所属で立候補すると正式表明した。前回同様、「川崎民主市政をつくる会」が擁立し、共産党の推薦が決定している。』
 
『連合神奈川 阿部氏に出馬要請 2009-06-26 多摩川新聞
http://blog.goo.ne.jp/tamagawa-np1962/e/cb4c529260990d57e870691fa78c9bcf
 連合神奈川と川崎地域連合は先月29日、阿部孝夫市長に、市長選に立候補するよう要請した。』

 この項目はファイルになかった。検索でもカナロコに載っておらず、また、連合神奈川のホームページにもない。グーグル検索から拾ったが、ともかくこの記事を探すのに苦労した。
 ニュースそのものを見過ごしたのであるが、今となって捨てておくことができない内容である。というのも最近の報道では連合は阿部市長を「推薦」と書いているからである。今となっては「出馬要請」と書いていないのである。

 おそらく正式出馬表明前に阿部市長の取り巻きである「支持団体」が「出馬要請」を出していたはずである。しかし、翻って考えると、連合神奈川と川崎地域連合は市長を直接支援する団体ではない。また、利害が絡まる既得権益団体でもないはずである。従って、候補者が出揃い、政策を検討して推薦を出すことはあっても、正式立候補前に「出馬要請」を出す理由はないはずである。特に問題は市民にとって選択肢に乏しい選挙であるから、先ずは候補者を増やす努力こそが必要なはずである。
 
 これもやはり、連合系民主党議員が党内での自らの地位の強化を図り、市長へのパイプを太くし、権益を作っていくために行なわれたものであろうか。これは推測の域を出ない。真相は薮の中である。
 
『阿部市長が出馬表明/川崎市長選 2009/06/05 カナコロ
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivjun090679/
 阿部孝夫市長(65)は5日、市議会本会議で、任期満了に伴う市長選への出馬を正式表明した。』

この6月定例会のなかで阿部市長は民主党マニフェスト重点施策にある「地下鉄建設を住民投票によって決める」について、けんもホロホロのすげない態度をとり続けた。詳細は別途報告するが、三宅議員の代表質問、岩隈議員及び雨笠議員の一般質問に対してである。ここで阿部氏と民主党との緊張間が高まる。

 更に、川崎市を取り巻く首都圏の状況もこの頃から急激な変化が顕在化する。先ず、若き新市長誕生の「風」が吹き出す。
さいたま市長選、清水氏が初当選 鳩山民主、初陣飾る
 2009年5月24日 asahi.com
『 <千葉市長選>民主推薦・熊谷氏が初当選 全国最年少31歳 
6月14日 毎日新聞
『33歳吉田氏が初当選、小泉元首相支援の現職破る/横須賀市長選
2009/06/28 カナロコ
 ここから7/12都議会選挙にナダレ込む。結果はご承知の通りである。

 続いて予定通り7/21衆院解散となる。しかしここで予期していなかったことが起こる。7/28横浜市・中田市長辞職である!
 その結果、横浜市長選が衆院選挙との同一選挙として設定されたのである。
 急遽、各党の候補者選びが進むなか、民主党の考え方に微妙な変化が起こり、これが川崎市長選の候補選出へ大きく影響することになる。

『横浜の中田宏市長が辞職へ…国政に復帰?(2009/7/28?読売)
 横浜市中田宏市長(44)が28日、市議会議長に辞職願を提出する。』

横浜市長選、候補者選び本格化/自民、擁立の方針 2009/07/30 カナロコ
 自民党市連幹事長で市議団長の佐藤茂市議は自民、民主、公明の市会主要3会派が協調しながら統一候補を選ぶ手法が望ましいとの考えを示した。』

『相乗り禁止「変わらず」/横浜市長選で民主・岡田氏 2009/08/03 カナロコ
 相乗り禁止に関し「原則は変わらない。今まで例外もあったが、しっかりと候補者を擁立して有権者に分かりやすく戦うのが基本だ」と述べた。』

『阿部副市長の擁立断念/民主党横浜市議団 2009/08/09 カナロコ
 党県連が元ダイエー会長の林文子氏(63)の擁立を決めたことを受け横浜市議団は阿部守一副市長の擁立を正式に断念した。』

 ここで明らかなように、横浜市議会の自民、民主、公明は統一候補として阿部守一氏を擁立することを考えていたのである。

 しかし、すでに衆院選挙戦モードのなかで民主党が圧倒的に優位に立っていることがマスメディアの世論調査などを通して国民に明らかになっている段階である。民主・岡田幹事長が相乗り禁止に関し「しっかりと候補者を擁立して有権者に分かりやすく戦うのが原則」と強調したことが決定的であった。

 林文子氏レベルの方を候補として見出すことは市会議員の識見と交際範囲ではとても無理であろう。民主党横浜市議団としては結局呑まざるを得ず、自民、民主、公明の統一候補は雲散霧消してしまう。

 この横浜市の現実が川崎市長選へ与えるアナロジーは明らかである。ここで阿部市長を自民、民主、公明の統一候補とすることは原則としてあり得ないことが民主党本部によって明瞭に示されたのである。このことは川崎市の市長選関係者に重大な影響を及ぼすことになったと考えられる。

 何故なら、筆者が7月、中田市長辞任の前に民主党のある方に対し、相乗り禁止で自公は阿部支持が確実、民主は別に候補者を立てて市民の選択肢を増やすべき、と話したときの答が、「相乗り禁止は自民、公明が先に推薦した候補者に対してであって、民主が先に推薦した候補者に、自民、公明が後から乗るのは含まれない」ということだったからである。
 その時、そんな逃げ道を用意していていたのか、と思ったので良く覚えている。しかし、はからずも偶然に、原則はそうではなかったことがここで改めて確認されたのである。何がキッカケになるのかわからない。川崎市民として、中田元市長に感謝すべきであろう。

 8月の衆院選挙戦モードのなか、休戦中かと思われた川崎市長選に反応が表われた。自民が阿部氏支持を表明したのである。阿部氏をめぐって自民が民主に仕掛け、阿部氏もまた、苦しい選択を迫られたが、等距離を表明して逃れた。

自民党川崎市連は政策協定で阿部氏支援へ/川崎 2009/08/06 カナロコ
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivjaug0908123/
 自民党川崎市連は6日までに、市長選に3選出馬を表明している阿部孝夫市長と政策協定を結び、支援する方針を固めた。』

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メルマガ 探検!地方自治体へ 第100号 09/9/13
川崎市議会改革・請願3件提出〜住民自治の視点〜」
http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/ine_mm.html
HP 川崎市議会への関心を広げる市民の広場
http://www.k4.dion.ne.jp/~kmk-head/

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