「不況の真因、『需要』にあり」労働経済学・大竹文雄教授


阪大教授・労働経済学の大竹文雄氏が不況の原因を供給よりも需要に求める必要があるとし、対策も需要を中心とする経済学に基づいて考えるべきだと述べている。
非常に啓発されるし、その論旨も明快で素人にも判りやすい。財政の専門家も含めてどのような反論があるだろうか?

経済教室・エコノミクストレンド(日本経済新聞朝刊 2009年5月4日付)

ポイント
 ・今回の不況は「供給」側の原因ではない
 ・政府による需要創出で失業問題の解決を
 ・ばらまきでなく暮らしに役立つ投資必要

 世界的な不況への対策として、米国では大規模な財政出動や銀行救済策など、小さな政府が重視された時代では考えられなかった政策が次々と実行されている。日本でも非常に巨額の財政支出が行われることになった。
 マクロ経済学で近年まで中心的な役割を果たしてきた理論では、このような政府介入政策の必要性をうまく説明できない。なぜなら、不況の原因を生産性の低下に求めるなど、需要側より供給側に焦点を当てる理論が主流であったからだ。