川崎市議会の不開示理由への反論

 昨日に引き続き、川崎市議会の議会基本条例検討プロジェクトの非公開問題を論じる。

 先ず、第1回会議日誌の[協議事項2]において「本プロジェクトの傍聴、報道機関の取材については、遠慮願うこととした」とある。要するに傍聴及び取材を拒否している。この拒否(非公開)と、会議の実質部分(検討資料、討論等)を不開示にすることは同じ考え方である。

 処分理由説明書において、『意見を率直に発言できる環境を保障することが必要である』と述べられている。

 しかし、これは「プロジェクト」を「委員会」と置き換えても成立するはずである。いや、委員会活動においてこそ、先ずは求められるものではないか。『任意』の「プロジェクト」が委員会以上の環境を保障されなければならない理由はどこにもないはずである。委員会での議案等の審議は本会議によって付託されたものであるから、その重みは大きいことは誰にでも理解できるであろう。

 「委員会」が必要としている環境であるから「プロジェクト」もそれに倣うとの論理のはずである。翻って、委員会並みの環境が必要であれば議会で正式に特別委員会を発足させれば良いのであるが。

 更に重要なことは、現状、「委員会」の環境は意見を率直に発言できる保障がなされていることである。委員会条例によれば、「委員会」の傍聴はその委員会で許可されるものであり、実質的には特に問題なく許可されるのである。その環境のなかで、率直な意見交換が阻害されることなど、川崎市議会において考えられないはずである。いや、川崎市議会以外の地方自治体においてもあり得ないはずである。

 処分理由説明書では「プロジェクト」と「委員会」の違いも説明せず、また、「プロジェクト」会議の実質部分(検討資料、討論等)を不開示にすることについて何も説明していない。

 また、『検討・協議内容を公開した場合、率直な意見交換を阻害するおそれがあり、プロジェクトの目的を達成することが不可能となることは明らかである。』としている。

 しかし、「議会基本条例」の議論を公開することが特に率直な意見交換を阻害する理由についても説明されていない。第1回会議日誌の[検討課題(例)]に示される項目のどれが、どのような理由で公開することが問題になるのか、説明もない。これでは理解できるはずもない。

 「議会の役割の明確化」、「議会と議員の位置付けの明確化」、「必要な環境・体制整備の実施」とその内容を読めば、非公開・不開示にすべき理由はどこにも見当たらず、最後の行に書かれている、「議会活動のより一層の透明性の確保」に今回の措置の矛盾が反映して皮肉にも光っていると言わざるを得ない。

 『プロジェクトの結論に至るまで、各委員の多様な意見等により検討過程においてその内容が紆余曲折することが想定され、市民に不正確な理解や誤解を生じさせることは明らかである。』と書かれているのも同じことである。

 「プロジェクト」だけであり得ることではなく、議案の委員会審議においても想定されるはずである。すなわち、『内容が紆余曲折すること』があり得るのが議会の姿である。本来、議会は議事機関であり、合議体であることは議論を待つまでもない。近年の議会批判は「議事機関」としての姿が見えにくく、市長提案に対する討論も乏しく、『内容が紆余曲折すること』も少なく、可決するだけの存在になっていると住民の眼に映っていることによる。

 以上のことから、『プロジェクトの会議の公開及び配付資料等の公開は行わないものと決定した』ことは理解しがたく、不当と考える。