「歪み」を排した住民投票制度は可能かー金井利之・東大教授


 月刊「ガバナンス」8月号の川崎市住民投票条例の報告についてケチをつけたが、その前の6月号に表題の論考が掲載されている。

 『住民投票条例を首長・議会が作るとすれば、これらの自治体レベルの権力者の意図が制度
に混入されていく。』と書かれている。更に、

 『もっと具体的に、単に「選挙と同日に住民投票を実施したい」などという自己の意図を追求する場合とか、色々である。』

 この論考は川崎市の「住民投票条例素案」が出された2月末の後書かれた思われるから、川崎市長の思惑を読んで皮肉ったものかもしれない。 

 『いずれにせよ、〈個々の仕組み〉としての住民投票条例といえども、中立的な真空状態で作られるのではなく、現実の政治権力構造のなかでの産物なのである。』というのは確かであろう。