「地方分権改革の今後」〜大森彌・東大名誉教授〜


 昨日に続いて自治体学会での話である。

 セミナーⅡ「地方分権改革の今後」では、「自治・分権型社会」への道筋を分権改革に深く関わった2人のパネリスト大森彌・東大名誉教授、森田朗・東大教授が歴史を振り返りながら今後を展望した。

 ここで、平成の市町村合併の評価、小規模自治体の「自治」、道州制導入の是非、地方分権改革推進委員会『第一次勧告』等ひとわたりの議論がおこなわれたが、筆者の力量では十分な理解に達し得ていないことが多く、配布された大森名誉教授の参考文献を若干のコメントを加えて提示する。

参考文献
1.大森彌『官のシステム』(東京大学出版会、2006年)
「IV章分権改革と省庁の対応」
大森彌『変化に挑戦する自治体』(第一法規、2008年)
「第7章 三位一体改革から第二次分権改革へ」
1三位一体改革の第ニラウンド
2分権改革に逆行する改正地教行法
3第二次分権改革における勝負
4第二次分権改革の方向性
5第二次分権委員会の「基本的考え方」
6第二次分権委員会の「中間的な取りまとめ」
2.大森彌「分権委『第一次勧告』と市町村」(『地方議会人』(2008年8月号)
3.大森彌「基礎自治体」の条件」(『ガバナンス』2008年8月号)
4.大森彌「『神戸勧告』と『平成の合併』」(『自治日報』2008年8月15日号)
5.大森彌「復権「スモール・イズ・ビューティフル」」町村週報12008年8月4日号)
6.大森彌「分権時代の議会・議員のあり方と改正自治法」
(地方自治研究機構編『自治体法務研究』2008年秋号)
7.大森彌「少子高齢社会における自治体戦略」(『地方議会人』2006年8月号〉
8.大森彌「変革期の自治体職員」(『地方公務員月報』2007年8月号)

筆者コメント
「2−8」については会場で資料が配付された。それを一読すると、地方分権における「基礎自治体とは何か」、それをベースにした「平成の大合併」の批判的検証、地方分権改革推進委員会、「第一次勧告〜生活者の視点に立つ「地方政府」の確立〜」(平成20年5月28日)へのコメントが中心となり、議会、職員の範囲にまで広く考察されている。
 特に小論である「4.「『神戸勧告』と『平成の合併』」 5.「復権「スモール・イズ・ビューティフル」」)にその立場は鮮明に打ち出されている。
「『神戸勧告』は1950年の地方行政調査委員会で出された。「規模の著しく小さい町村については、おおむね人口七、八千程度を標準として」規模の合理化を図るべきだとし、これが「昭和の大合併」を誘うことになったとしながらも、留保が付いていたことを指摘し、なかでも、その一つ「学校、土木、農業改良、社会福祉、公衆衛生、国民健康保険、消防のような町村における重要な事務について個々に、それぞれの能率的な処理を可能とする規模を検討し、それらに共通する規模を採り、それをこえるものについては、組合その他による共同処理を考慮すること」には、更に「なお」書きとして、「なお、山間へき地や離島にある町村のように明らかに規模の合理化の余地の存しないものについては、その町村の能力をこえる事務について府県が代って処理するような道も考慮しなければならないであろう。」が付されていたことを明らかにしている。
この神戸勧告を引き合いに出しながら、『どんなに人口が少なくとも、どんなに財政力が小さくとも、そこで生き抜こうとしている住民とその代表機関があるかぎり、その意思を尊重し、艱難を承知の上で地域の自治を続けていこうとするならば、そうした町村の存在を認め、その努力を励まし支援する、そういう政策こそを国は求められている。「小さい町村はなくなれ」などとは断じて考えてはならない。国土の多様な姿に見合うように多様な基礎自治体が存在する日本国のかたちを構想したい。』と述べている。

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