スペインサッカーの見事な中盤


 ユーロの決勝戦をようやく見ることができた。

 シャビ、イニエスタを中心とする中盤でのボール支配、どこにボールを運び、どこにボールを出すのか予測をさせないボールキープとそのさばき、新たな戦略を創造しつつあるとも言える。

 ドイツの中盤は体の向きからパスを読まれ、少しずつ追い込まれ、最後の競り合いのこぼれ球を拾うことがなかなか難しい。
 一方、スペインはドイツにディフェンスラインを敷かれても少しずつ崩し、ラストパスに結びつけていく。決勝点はシャビからのパスをフェルナン・トーレスがスピードと個人技でゴールへ持ち込んだのであるが、ペナルティエリアの中でも狭いスペースにパスを通す工夫をしている。

 この中盤でのパスの読みを巡る攻防こそは今後の最先端サッカーのベースになるように思われる。

 翻って日本は中盤をドリブル、フェイント、パスを自在に使って構成する技もないし戦術眼ももっていない。その差をどうつめるのか、創造性に富んだ指導者がまず求められる。

 少年サッカーでも、いつまでも選手をどなっているだけがコーチの役割でないことを自覚するところから始まるはずである。

 『始まりがなされんがために人間は作られた』
(聖アウグスティヌス、引用は「全体主義の起原3」(ハンナ・アレント著)