同時性による崩壊

以前にこのブログで書いたように、日銀が6月15日発表した2007年3月末の資金循環統計(速報)によると、家計の保有する金融資産残高は1536兆1628億円・年度ベースで最高である。
http://d.hatena.ne.jp/goalhunter/20070619

国の借金時計は現在、刻々と増え続けているが、資産と国の借金が奇妙に釣り合っている。
( 日本国の借金時計 http://www.takarabe-hrj.co.jp/clock.htm )

そこで何となくバランスが取れていて、例えば、最後の最後で資産と借金をチャラににすれば何とかなる、との感覚があるそうだ。このバランスはそぷいうものではなく、試案があるが故に一気に崩れる潜在危機があると考えるべきである。


要するに財政は1000兆の赤字は火種であって、国民資産1500兆は火薬であるということ。キーワードは“同時性”。


例えば、1000兆のデフォルトの噂で誰かが資産を現金化しようとする。それがwebによって一斉に広まり、ネット取引に現金化アクセスが殺到、ネットは動かず、窓口、コンビニへも殺到して大混乱、という構図のなる。


ポール・ヴァレリーの言う「為替相場の象徴理論」である。
(「精神の政治学」『全集11・文明批評』筑摩書房(1967)所収)。
そこで彼は「あらゆる社会組織は信用或いは信頼を基礎としている」、即ち、確率的には同時性はあり得ず、それを前提として組織は運営されると。


政治的には、一斉蜂起は起こらないことによって警察力は担保される。赤軍派の「世界同時革命理論」はこれを覆そうという戦略である。9.11の時も何機かでやった。現状打破を狙う国家が数カ国で同時にゲリラ、ミサイル発射、侵略戦争を引き起こしたらアメリカは対応不能である。


大なり小なり、じわりじわりとどこかで起きていることは確かで、国の財政赤字と同じですべて先送りによる破局です。大切なことはどのような教訓を引き出すのかであるが、これもうやむやにして水に流しているのが現状…。

HP「散歩から探検へ」に“川崎市政との対話”を掲載
  http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/
MM「探検!地方自治体へ」で“川崎市の行政・議会”を議論
  http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/melmaga_01.html