自治体議会の現状と課題〜一つの総括と提案〜

議会改革を目指す住民の立場から、川崎市を例にとって考察する。


自治体議会は、多元的な意見を“討論”によって集約し、住民代表として自治体の意思を形成していく場である。これにより二元代表制における首長との緊張関係を維持できる。


しかし、現状は形式的質疑応答(原稿をお互いに読む)、議案はそのまま可決、という「賛成マシーン」と化し、本来の姿である「討論マシーン」からはほど遠い。その一方で、支持者を中心とした地域的、業種的取り巻きからの「特定の要望」を「口利き」という形で行政へ伝える役目を果たしている。


「賛成マシーン」、「口利き」の矛盾を象徴するのは、会派(自民党民主党など)から首長へ予算要望書を提出する儀式である。会派だけで要望を決め、その根拠も明確にされず、会派間の議論もなく、住民への説明責任もあいまいである。これが市政に対する最大限の主張のやり方で、書面を首長へ渡している写真が載っている会報をみかける。


この間隙をぬってか、行政は「市全体の問題」について、委員会、審議会、パブコメ等の制度を作り、住民からの声も聞いている。このとき、議会は蚊帳の外である。


この傾向を逆転させなければならない。「特定の要望」は、行政の担当部門、地域等の組織体に任せ、アドバイスに徹する。一方「市全体の問題」こそ、議会で取り扱う事項である。ここでの“討論”の復活こそ、議会改革の起点である。


このアプローチとして、今回端緒についた「議会マニフェスト」のフォロー・検証を考える。先ず、マニフェストを、“検証・評価を前提として提案された政策体系”と 定義する。即ち、住民に対して“政策のボールが投げられた”のである。住民は“検証で返球”することが可能であり、住民側の手がかりになる。


議会の議決権は討論の過程を経て、その最終段階で行使する権限である。従って、“修正を含む討論”が行程である。特にマニフェストを掲げた会派は、首長及び他会派と討論し、説得、調整を試み、更にその内容を公開、説明責任を果たし市民の支持を得る。行政とも住民とも討論し、政策を統合する、行動する議会へ!


一方、市民は定期的にマニフェストのフォロー・検証を実施し、情報の公開、施策の加速・修正を少なくとも提案できるはずである。ここでは住民と各議員との討論による往復運動がポイントになる。これによって住民は議会の退路を断つのである!


HP「散歩から探検へ」に“川崎市政との対話”を掲載
  http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/

MM「探検!地方自治体へ」で“川崎市の行政・議会”を議論
  http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/melmaga_01.html