川崎市議会議員選挙での「マニフェスト」の効果と課題

 一昨日及びその前の日に川崎市議会議員選挙運動での民主党「川崎マニフェスト2007」の取り扱われ方について素描した。

 http://d.hatena.ne.jp/goalhunter/20070330
 http://d.hatena.ne.jp/goalhunter/20070331

 その中で、民主党候補者であっても、「マニフェスト」に対するスタンスが異なることについて述べた。「マニフェスト」そのものは言葉として流行し、今は落ち着いてきてようやくその真価を落ち着いて考えることが出来る段階になっている。


 即ち、ここにきて流行に乗って「マニフェスト」にすり寄った人と、「マニフェスト」を地方自治政治の中で有効なツールとして位置づけ、それを使いつつも、磨きをかけていこうという本物志向の人とがようやくはっきりとしてきた、とも言える。


 そこでもう一度「マニフェスト」の効果と課題について、整理してみよう。

 議会は選挙民に選出された議員で構成されているという枠組のなかで、首長率いる行政をチェックする立場にある。しかし、チェックするためには自らの立場を設定しなければならない。それがビジョンであり、それに基づく具体案が「マニフェスト」である。更にそれを実現するためには、多くの賛同者を必要とするわけで、議員の意思だけではなく、「議会」としての意思を構成して始めてチェックも本格的に機能する。これが「マニフェスト」の基本的な効果である。
 
 では、課題は何か。良く言われているように自治体「議会」は予算編成権を持たない。従って、地方自治体議会議員選挙で「マニフェスト」として施策を約束すること出来ないはずであるとの批判がある。もしそうであるならば、議員ではなく、監察員選挙にすればよい。また、「マニフェスト」がだめで、通常の公約は良いのであれば、結局、公約は実行できなくても良いということになる。先ほど、選挙カーから「高津区保育所を至急増設して待機児童ゼロにします」と叫んでいた候補者がいたが、こういうことは言えなくなる。

 「マニフェスト」を実現しようとするならば、議会の過半数を獲得することが先ず望ましい。もし過半数に達しなければ?多数派工作が必要である。それが政治闘争だからである。議会として最大限できることは、「議会」として主張することである。


 川崎市における4年間で、これまで「議会」として市長の施策に“唯々諾々として賛成”してきただけではなかったか。その中で、今度の選挙以降は「議会」として“主張”するようにしなければならない。それが「マニフェスト」を背負った会派の取るべき態度であり、それによって予算編成権を持たなくても最大限「マニフェスト」の内容を実現するように努力することが先ず必要なことであろう。これが課題のαであり、ωでもある。


HP「散歩から探検へ」に“川崎市政との対話”を掲載
  http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/
MM「探検!地方自治体へ」で“自治体・川崎市政”を議論
http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/melmaga_01.html