スポーツ施設に関する質疑応答〜川崎市議会議事録から〜

 先に、「川崎市議会議事録」を閲覧し、不便さについて改善を提案した。次に具体的な質問内容を調べてみよう。取り上げる質問は筆者が追求している「稀少資源であるスポーツ施設の公平な再配分」に関連する問題である。
平成18年川崎市議会第4回定例会第3日(平成18年12月6日(水))の議事録から、以下を転載する。

◆4番(飯田満)
 私は、民主・市民連合川崎市議団を代表し、平成18年第4回定例会に提案されました諸議案並びに市政一般について、市長、関係局長及び関係区長に質問をいたします。…
 次に、スポーツ環境整備について伺います。…
 そこで、スポーツ環境の根底でもあるグラウンド施設について何点か伺います。…
 まず、野球におけるグラウンドについては、…そこで唯一グラウンド施設がないのが宮前区であります。
 …そこで、宮前区におけるグラウンド施設の確保について、既存施設の市民開放以外に本市の考え方について伺います。


 この質問から直ぐに飯田氏が宮前区選出議員であることがわかる。
 
 先ず、「(川崎市における)スポーツ環境の根底でもあるグラウンド施設」についての質問が、「宮前区の野球グラウンドの問題」に矮小化されて置き換わっている。すり替えの論理で自らの選出区だけを取り出している。川崎市として一番大切なことは、川崎市全体のスポーツ施設がどうなっているのか、そのなかでの問題点は何であるのかの認識を共有することである。
 筆者はすでに、少年サッカーグラウンドが少年野球グラウンドと比較し、30倍の格差を付けられていることを川崎市議会への陳情(H16/11に採択)において、問題提起している。
 少年サッカー人口 5,000人 少年サッカーグラウンド  1箇所
 少年野球人口   3,300人 少年野球グラウンド   19箇所

 行政側の回答は、グラウンドを作れる大規模用地は川崎市に乏しく、新規に増設することはなかなか出来ないとのことである。そうであるならば、「スポーツ環境の根底でもある現在のグラウンド施設」は稀少資源であり、市民のニーズに合わせて再配分する必要がある。これが筆者の主張である。

 この主張に基づき、先に採択された陳情においては、少年サッカー、少年野球だけでなく、更に広く調査・分析を行って、市民ニーズにあった是正計画を策定することを提案している。詳細は以下を参照。

 「吉井 俊夫のHP・散歩から探検へ」:川崎市政関連の論考を掲載。
 http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/

 当然、飯田氏も質問以前の問題として上記の陳情、及びそれに基づく調査結果を勉強し、それとの関連において質問を構成すべきである。現状認識を共有し、それをもとにして議論しなければ、単なる線香花火であり、宮前区の支持者にするリップサービスに過ぎなくなる。

 質問に対する答弁は以下である。軽く、いなされている。

◎教育長(北條秀衛)
 次に、宮前区における野球グラウンドについての御質問でございますが、公共スポーツ施設のあり方につきましては、現在の多様なスポーツニーズに対応するため、平成16年度に庁内の関係局で構成する公共スポーツ施設あり方調査検討会を設置し、既存スポーツ施設の現況等の調査を行うとともに、公共スポーツ施設のあり方について検討したところでございます。検討の結果といたしましては、既存施設の多目的利用、計画段階や更新が予定されている施設の多機能化・複合化、あるいは民間施設の市民利用の促進などによりスポーツ環境の整備を進めていくことが今後の取り組むべき課題となり、利用機会の拡大を図ってまいりました。

 「公共スポーツ施設あり方調査検討会」の設置は、筆者の陳情を受けた結果(正確に言えば、筆者が相談した堀添議員の議会での質問を受けた結果)によるものである。
 では、検討会の結果を踏まえて、利用機会の拡大を図ってきた、その結果はどうであろうか。
 先日、公文書開示請求をして調べたが、一箇所だけ多目的広場が増えただけであり、施設の多機能化・複合化などは進展していない。これが現実である。

 当然、この現実を認識していなければ市議会における議員の質問としてはお粗末としかいえない。これが「民主・市民連合川崎市議団」を代表した質問であるのは、残念である。

「吉井 俊夫のHP・散歩から探検へ」:川崎市政関連の論考を掲載。
 http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/
姉妹編ブログ「備忘録」:07/02/9以前の川崎市政関連の論考はここに掲載。
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