自治体における情報公開の5W1H〜神奈川県の予算書公開について〜

 自治体と住民との情報共有については多くが語られており、趣旨に沿っての情報公開が各自治体で進められ、マスメディアにおいてもニュースとして取り上げられている。
 本ブログでも「07/03/07川崎市の要綱をホームページで全面公開/神奈川新聞」、で議会主導による行政運営の要となる規程の公開についてその意義を論じた。
 その後、「07/03/12 HPから「川崎市議会議事録」を閲覧する」でHPに公開されている議事録の掲載内容が、読者にとって把握しにくいことを指摘した。実は、そのとき薄々感じたのが、行政側の情報開示の姿勢である。

 今日のカナコロを読んで以下の記事にぶつかり、ようやく自分自身の疑問が何なのかが判った。それが表題の「自治体における情報公開の5W1H」である。

 予算の議案と説明書をホームページで公開/神奈川県/ 2007/03/15 カナコロ
  http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiimar289/ 
 「県は、県議会に提出した当初予算と補正予算に関する予算議案と説明書を県のホームページ(HP)でも公開する。二〇〇七年度当初分と、〇六年度二月補正分は十四日からHPに掲載。当初・補正双方の議案と説明書をインターネットで公開するのは全国の都道府県で初めて。」
 
 そこで、早速、記事の案内から、県のHPの「県の運営情報」をクリックし、県政基本情報にある項目「財政(予算・決算・県債)」から閲覧してみた。

 そこには、平成19年2月神奈川県議会定例会「議案(予算)」、「予算に関する説明書」として、平成19年度当初予算の「予算議案」並びに「予算に関する説明書」を掲載します、とあって、
 予算議案(全76ページ)、予算に関する説明書 全体版(全385ページ)がクリック可能である。

 それを閲覧したのだが、各ページすべて「表」であって、その中は「項目」ごとの「数字(予算)」が並んでいるだけであった。一住民がこれを閲覧しても、いや、県会議員が読んでみても何を意味するのかさっぱりわからないであろう。何も説明をしていない“説明書”であるし、ここから何を読み取れというのだろうか。情報公開と言われたから、出してみたまでとの“姿勢”しか読み取れないのである。


 報道ニュースには“5W1H”が必要であるとは、50年前の小学校で、授業の時に習ったような記憶がある。何故なら報道は読者(視聴者)のために、読者(視聴者)に対して行われるものだからである。

 では、自治体の情報公開は?住民のために、住民に対して行われるものである。そうであるならば、全く同じではないが、“5W1H”を考慮した開示方法が必須である。

誰に対して(who)、
何を(what)、
 いつ(when)、
 どのような場で(where)、
 どのようにして(how)、
 何の目的・理由で(why)、

 この観点からみれば、今回の「予算議案」並びに「予算に関する説明書」の公開は、先ずは素早く公開したことの意義は認められるが、単に公開したという事実以上の意味があるとは思えない。今後、予算書の内容と意味を県民にわかるような説明がなされることを提案したい。


「吉井 俊夫のHP・散歩から探検へ」:川崎市政関連の論考を掲載。
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姉妹編ブログ「備忘録」:07/02/9以前の川崎市政関連の論考はここに掲載。
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