“議員あって議会なし”の地方自治体議会

マスメディアにおける地方議会としてのニュースは、首長提案を否決、特に人事提案を否定した場合が多い。一方、身近な噂話の中では、近くの議員に役所に対する口利きをしてもらった、というのが多い。この二つの話の中に拒否権行使集団としての地方議会の仕事の性格が表されているようだ。

 拒否権行使集団とは、所謂圧力団体である。自らの利益を主張し、パイの中から切り取りを図り、不利なことは受け入れを拒む。政治的コネを通して、表立って自己主張するのではなく、ネゴで主張を通していく。

 オール与党化した議会であるならば、反対なし、すなわち、議会での主張は特に目立たない或いは何も主張がないことになる。そうなると、口利きだけが仕事として残ることになる。これは拒否権行使集団の一面を強く表している。その形態は議員集団としての政党としてではなく、議員個人がそれぞれの圧力団体の利益を体現していくので、「議員あって議会なし」の状態である。

 地方自治体議会が真の議会として機能するためには、政策・立法を提案することが必須であるが、それはどのような方向からであろうか。川崎市では最近、民主党から「川崎マニフェスト 2007」が提案された。当然、選挙をにらんでのことであるが、地方自治体における議員集団の活動としては、国内始めての試みだそうである。これも有力な試みと評価すべきであろう。さらに、新たな試みが提案されることを期待しよう。

「吉井 俊夫のHP・散歩から探検へ」に関連の論考を掲載しています。
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07/02/9以前の川崎市地方自治関連は、ブログ「備忘録」をご覧下さい。
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