橋下知事「政治に独裁を」〜住民自治に反する発言〜

危機に直面したときほど、その人間や組織の隠された本性が顕わになることはない、と言われている。
大震災が原発に及び、多くの地方自治体も当面の節電から先々のエネルギー政策に対し、何らかの判断に迫られる中、本性を顕す人も出てきた。

大阪府橋下知事「今の日本の政治に必要なのは独裁」との発言である。2011.6.30 産経
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110630/stt11063008130000-n1.htm

これに対して、大阪市・平松市長は、30日の記者会見で、
「市民のためでも府民のためでもなく、自分のため、というのが独裁だ」
と激しく批判した。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110630-OYT1T00889.htm

発端は、平松市長が言うように、
大阪市を解体し、いくつかの普通の市にして、大阪府が府内をすべて統合する」との橋下提案である。

大阪府は、
地方自治法の抜本改正の検討、地方政府基本法の制定に向けて、
大阪から新たな自治制度を提案すべく、大都市制度のあり方について調査・研究を行うことを目的として、
大阪府自治制度研究会」を設置した。
http://www.pref.osaka.jp/chikishuken/jichiseido/index.html

その答申は、今年1月27日に提出された。題して、
『大阪にふさわしい新たな大都市制度を目指して〜大阪再編に向けた論点整理〜』
極めて冷静で、リーズナブルな提案である(上記URLから入る)。

次に必要なのは、論点に関する大阪市側からの反論、追加データ等の提示、続いて両者による討論である。
「大阪の政治に必要なのは独裁」では決してなく、答申にあるように『論点追求と討論』のはずである。

苦心して出した答申を踏みにじる橋下知事の発言は、その真性が思わず出されたとみる他はないのだろうか。