尖閣諸島事件と外交における行動の自由

世評に踊らされず、結果を眺めてみると、日本が事件を起こした中国の船長を釈放して以降、日本外交は行動の自由を回復してきたように見える。これは不思議に思える。何故だろうか。

先ず、鳩山外交で不安定化した米国との信頼関係が岡田・管間外交によって基盤を作りなおし、今回の事件で信頼を確認したかに見える。国務次官の発言にみられるように、米国における一連の会談で、今回の対立で硬直化し、更にエスカレートするかもしれない中国との関係を、日本は改善する方向へ、イニシヤティブを取ったと評価されているのではないだろうか。

これを弱腰外交と批判すると、対立はコントロールから外れ、エスカレートしていく可能性を含む。

シンガポールを興隆に導き、今でも高い見識で影響力を及ぼすリー・クアンユー顧問相(87)は船長を釈放した菅政権の対応を評価する見解を示したと報じられている。岡路ような考え方による評価と考えられよう。

リー・クアンユー氏、日本の尖閣対応を評価
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20100924-728653/news/20100929-OYT1T00996.htm