トルコの研究者が江戸川乱歩『芋虫』を論じる

 小学生低学年の時、何か本が読みたくなって父親と一緒に町の本屋さんに行った。そこの親父さんが「これがいいよ」と言って進めてくれたのが乱歩の少年探偵団シリーズであった。そこから読書のクセ(習慣)が付いたように思う。「西洋館」が乱歩のイメージで、後に読んだ横溝正史のおどろおどろした田舎の世界とは対照的である。そのふたりが同時代で付き合いがあったことを知ったのも随分と後のこと。その意味でも教科書的日本文学史の偏見は近代化日本の思想を映し出しているように思える。

2010/07/15 【東京財団メールマガジン Vol.243】
第60回ベルリン国際映画祭で注目を集め、銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞した日本映画『キャタピラー』の話題は記憶に新しいところですが、その原作である、江戸川乱歩の『芋虫』。

論考「イモムシ」
ニライ・チャルシムシェク
チャナッカレ・オンセキズ・マルト大学(トルコ)
教育学部日本語教育学科 研究助手
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 https://krs.bz/tkfd/c?c=80&m=15677&v=e6e87282

チャルシムシェク氏は、独特な雰囲気漂う乱歩作品を「近代日本における男女の社会的立場の違い」、「国家が引き起こした戦争が個々の人間に負わせ、戦後も癒えない大きな傷」という観点から分析しています。