自治体の住民自治制度は「選挙とリコールの間」にある

多摩市の議会改革論議を引っ張る岩永ひさか議員のブログに
http://www.iwanaga-hisaka.net/blog/2008/12/post_220.html

「今日は議会だよりの原稿締切日だったので、原稿をやっと完成して提出。ちょうど議会改革特別委員会の報告をとりまとめていたのですが・・・・・

我孫子市長の福島浩彦さんの論考「市民の自治体をつくる」
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=374

がとても参考になります。何度も読み返しては、頷いてしまいました。」
と書いてある。

ハッと思って早速、読んでみると、

憲法改正国民投票以外は基本的に主権の行使を国会に任せる。
 しかし自治体の場合、市民は選んだ市長がダメだと判断したら、任期中でも原則有権者の3分の1の連署による直接請求で住民投票を行い、リコールすることができる。同様に議会を解散させることも、議員をリコールすることもできる。
 また、国の法律の直接請求はできないが、自治体の条例は直接請求できる。

 市民は、国では唯一国会に主権を預け、国会という1つの民意を中心に政府を動かしていくが、自治体では執行を担当する長と決定を担当する議会に分けて主権を代行させ、かつ市民が直接、監視と参加を行う。
 選挙で選んだ長と議会という2つの民意と、市民の直接参加、この3つの力が緊張関係を持ちながら自治体を運営し、結果として主権者市民の意思を反映させる。」

 実は川崎市住民投票条例の制定過程に異を唱えたときに、以下のように考え、メルマガに書いたことがある。
 「メルマガ 探検地方自治体へ 第57号 08/07/03」
川崎市長の心理と論理〜川崎市住民投票条例案変更過程の背景〜
http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/ine_mm.html

「代表民主主義制度としての所謂「間接民主主義」はリコール制度を含んでいる。「選挙とリコールの間」で住民投票制度を規定すれば、この制度が代表民主主義と反するものであるとは必ずしも言えないのではないか。
 但し、この問題を本稿で取り上げるのはかなり重荷である。後日ゆっくりと議論を試みたい。」

 すなわち、「リコール制度」は福島さんが論じているように市民の究極の権利であるが、その制度の精神は以下の二つのことと考えていた。
1)「リコール」は一方の極であって、できるだけそこまで展開しないように長及び議会は住民に対して「情報を開示し、説明する責任」を負っている
2)上記の考え方から、「選挙とリコールの間」に住民の意思を直接反映する住民参加制度を作ることは「条例の直接請求」が規定されているように、妨げられることではない

 従って、これが情報共有と住民参加の法律的基盤(地方自治法)であり、自治基本条例の精神もここに発する。

 このときは一番身近な国政との比較を頭に浮かべることができなかった。岩永さんが「何度も読み返しては、頷いてしまいました。」と書かれたことによって、福島さんの説に到達できた。

改めて、おふたりに感謝する次第です。