メルマガ紹介 陳情・請願審議の分析〜願意は理解されるのか(2)〜

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 筆者のメルマガ 08/2/23 号は前回の続き、陳情・請願審議の分析〜願意は理解されるのか(2)〜 である。結局、陳情者の願意を捉えるのは意外と難しいときがあることの実証である。


 行政側の説明はとうしても都合の良いように資料が出せれる。議員の質疑も虚心さに欠ける。

 陳情審議の問題点として、今回に限って言えば次の点について“議会改革”を進める必要があるとの結論である。

1)委員長のリーダーシップによる準備

 委員長は委員会での議論を方向づける役割を負う。そのためには先ず、陳情書を読み、課題を整理する。続いて、行政担当者からヒアリングを行い必要な資料を要求する。今回の場合、「あり方委員会」のこれまでの議事録を資料要求して精査することが挙げられる。また、全体の施設が何を根拠として現状に収まっているのか、経緯と理由をまとめさせることである。即ち、これは事業分析に相当する。

2)審議での資料紹介と提出者に審議の方向性について意見を求める

 事前に資料配付し、冒頭に資料紹介を行う。これで審議の方向はほぼ定まる。続いて、陳情提出者が議論の方向性を含めて意見を述べる。これによって討議の内容が明らかになる。

3)行政の施策に対して方向性を与える討論

 個々の施策を実行するのは行政であって、議会ではない。議会が討論を行い、即ち色々な意見を出し合ってそれを統合するとき、それは市民の代表としての提言になり、非常な重みをもつ。それは先ずは“方向性”のチェックである。

 今回の陳情では前回触れたように、審議の最初の堀添議員による「長期計画策定のための分析であり、あり方委員かであると理解する」との発言を受け、長期計画とは何か、それを策定するためには具体的に何をアウトプットすべきなのか、それを議論すべきであった。

 それが審議の最後に少し苛つきながら雨笠委員が言ったように、「理想的な所要」を描き、現状リソースとの乖離、そのための現実的或いは困難も含む対応案の策定、現状の既得権益をリセットした場合の公平な利用方法等を討論し、最後にあり方委員会での議論或いは調査を方向づけるものでなければならなかった。そのようにすれば、行政をフォローすることも可能になったのである。

現状は陳情を採択して形式的な満足を陳情提出者に与えるだけで、行政側の思惑とおり、ほとんど現状維持のままで時間だけが過ぎ去っていくのである。