「市事業会計」と「市民会計」〜横浜市地下鉄の場合〜

横浜市総務部財務課による記者発表資料(平成19年7月2日)である。

 
平成18年度 高速鉄道事業会計及び自動車事業会計決算(速報)について
 平成18年度の市営交通事業(高速鉄道事業及び自動車事業)の決算について、収入・支出等の集計が終了しましたので、速報として公表します。この決算は、監査委員の審査を経て市会に上程され、認定を受けて確定します。
(筆者注;ここでは地下鉄について取り上げる、バスについては次回に回す)


■ 高速鉄道事業会計(市営地下鉄)決算のポイント
営業損益が、前年度の41.4億円から0.5億円悪化し、40.9億円の黒字
資金不足が改善し、前年度30.3億円発行していた資本費負担緩和分企業債の新規発行を抑制

コメント
川崎市縦貫高速鉄道事業(市営地下鉄)にとって参考とすべき情報である。
横浜市営地下鉄は営業黒字である。
しかし、ここの「ポイント」に書かれていないことがある。


営業収益 317億円 営業費用 276億円 損益 +41億円
営業外収益 65億円 営業費用 147億円 損益 ー82億円
 
経常損益 382億円 経常費用 423億円 損益 ー41億円


営業損益は41億円の黒字である。
一方、営業外損益は建設借金に対する利子支払い147億円により、82億円の赤字である。そこで経常損益は41億円の赤字になる。ここで疑問は営業外収益とは?である。


これを「市事業会計」と「市民会計」(市民の立場からみた会計)との違いと言っておこう。


「ポイント」に書かれていないこと(隠したいこと)は、


営業外収益一般会計補助金及び県補助金として59億円が含まれていることである。


確かに、「市事業会計」としては収益であろう。しかし、市民からみれば自ら払った税金による補充、即ち、支出である。「市民会計」からは収益どころか費用である。


従って、「市民会計」の営業外損益は差し引き“141億円の赤字”であり、経常損益は“100億円の赤字”になる。

「市民会計」

営業収益 317億円 営業費用 276億円 損益  +41億円
営業外収益  6億円 営業費用 147億円 損益 ー141億円

経常損益 323億円 経常費用 423億円 損益 ー100億円


これに一般会計補助金及び県補助金59億円を注ぎ込んでも、なお“41億円の赤字”である。この巨額の負担をするのは誰であろうか、明らかである。要するに市民は
“100億円”を背負ったわけである。


利子支払いは建設費借金の返済と共に減るため、最終的にはゼロになる。これはマイホームの返済と同じで会ある。マイホームは基本的に定額返済であるが、最初のうちは利子支払いが圧倒的に多いことは、経験すれば痛感しているはずである。


特別損益3億円を含めると市民会計としては103億円の赤字である。
また、累積損益は“2,393億円の赤字”である。

川崎市民のひとりとしては、

「他山の石もって玉をおさむべし」(論語)。


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世話人
 井坂洋士(高津区在住)、小杉敏(高津区在住) 、
 吉井俊夫(高津区在住)

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