技術と商売の間に安全性が〜未成熟な技術者倫理と衰退する商道徳〜

技術者は、技術的可能性があれば何でもやる、と先に書いた。
http://d.hatena.ne.jp/goalhunter/20070618


商売にできそうであれば何でもやる、これが現在の起業家倫理であろうか。ジェットコースタ事故の時も薄々感じていたが、今回の温泉場爆発事故は、企業経営の公的性格を全然考えられない未熟で歪な考え方の持ち主による無責任な運営の結果である。


ガス検知器は家庭でも取り付けられている位であるから、それに思いが及ばなかったことはあり得ない。工事を請け負った企業もまた、工事上の安全を図るために先ず考えることである。情報は同然、当事者へ伝わっていたはずである。


シエスパ爆発、開業前「惨事の可能性」・調査会社指摘 (07/06/26 日経)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20070626AT1G2601V26062007.html

東京都渋谷区の女性専用温泉施設「シエスパ」で起きた爆発事故で、施設の建築主、ユニマット不動産(東京・港)が開業前、天然ガスの濃度を測定した調査会社から、適切な対策を取らなければ「メタンガスによる爆発が起き、大惨事になる可能性もある」という趣旨の指摘を受けていたことが26日、関係者の話で分かった。


 やはり、そうか。という感じである。見過ごして、事故など起こるはずがないという希望的観測で紛らわしていた、というのがだいたいのところであろうと推察する。社会的責任など皆無の経営者である。昔流に言えば、商道徳の問題である。民間の商売人が私利私欲にならないようにする唯一のしかけが、商道徳ということであるが、その衰退も著しい。


 当然、技術的に危険性があることは専門家なら判るはずであるが、それを素人に予防措置を取らせるまでに働きかけていない処に技術者倫理の未成熟性がある。


HP「散歩から探検へ」に“川崎市政との対話”を掲載
  http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/
MM「探検!地方自治体へ」で“川崎市の行政・議会”を議論
http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/melmaga_01.html