川崎駅西口ラゾーナ・ミューザ周辺

 かつての勤務場所の一つであった東芝・堀川町工場の所在地が巨大な商業ビルに変わった。自分が仕事をしていたのはどの辺りか?などと野暮なことは考えまいと思っているのだが、ついつい昔を思い出そうとしてしまう。

 ラゾーナの商業空間はサービス産業の企業がきびすを接しており、川崎市民としてのメリットは、土地の有効活用(税金収入)、雇用の創出、近場でのショッピングであろうか。ただ、雇用創出、ショッピングといっても、当然、川崎市にとどまるわけではない。神奈川県、東京都在住の人たちも働いているし、ショッピングもする。

 “移動と交流”が促進される。

 これは川崎駅西口ラゾーナだけの話ではない。神奈川県、東京都のそれぞれの地域で商業ビルが建設され、働くひととお客の“移動と交流”が加速されている。郊外地区に眼を移せば、ベッドタウンは仕事に対してだけではない。都心に向かうサラリーマンだけが「東京都神奈川県人」ではないのだ。学校、遊び、ショッピングも含めて家族全員が「東京都神奈川県人」である場合も珍しくないであろう。

 そこで川崎市だけで解決がつかない問題がますます多くなってくる。いや、行政をX軸にとれば、Y軸には企業活動が、Z軸には…と、問題は複雑化する。交通問題などはその典型である。

 しかし、行政体が大きくなってもひとりの住民にとっての“地域”はそれほど広がらないであろう。いや、生活の場としては益々、小さくなるかもしれない。

 地域を地域として存在させるのは何か?厳しく考えていくことが必要とされる。


「吉井 俊夫のHP・散歩から探検へ」:川崎市政関連の論考を掲載。
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姉妹編ブログ「備忘録」:07/02/9以前の川崎市政関連の論考はここに掲載。
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