当たり前の地方自治体議会 道半ば(朝日新聞)


 偶々、朝日の朝刊をみたら、「地域がみえる、全国議会アンケート下」が出ていた。
 自治体議会改革フォーラムとの共同調査である。
 その見出しが「当たり前の議会 道半ば」である。

 役所の「追認機関」

 過去4年間で議会に係わることを除いた条例を議員立法として制定した議会は、回答数の1割にも満たない“125”とのことである。しか、なかったのか、も、あったのか感想は様々であろう。筆者は、も、である。

 過日の「麻生区選出川崎市議会議員と語る会」において同じような質問を受けた議員が「あると言えばある」、「費用弁償、政務調査費」と苦しげに答えていたが、それは夫子自身のことである。結局、何も無いのである。

 住民の傍聴を広げる夜間・休日開催の試みも未だ少ない。
 議会傍聴の先駆的団体、「相模原市議会をよくする会」の赤倉代表は、
 「面白くなければ来ないのは当然。丁々発止の議論ができる議会へと質を高めなければ、ただのイベントで終ってしまう」とコメント。
 筆者も全く同感で、川崎市議会もネットで見ることはできるが、その退屈さにとてもつき合う気がしない。質疑の議事録をサッとみて本当に読む気がするのは1割もない。

 自治体議会改革フォーラム代表の廣瀬克哉・法大教授は、
 「市民と直接向き合うのが責務」と以下のように寄稿されている。

 自治体議会は、これまで通りのあり方では住民から存在意義を認めてもらえない。そんな危機感の広がりをアンケートから読み取ることができる。議会改革に取り組んでいると回答した議会は4割強の665に上っている。

 議会改革を確かにするための制度が議会基本条例だが、すでに制定済みの議会に加え、120以上の議会が制定を視野に入れていることも明きらかになった。現実を変えよ克うという流れは着実に広がってきている。

 だが、改革によってどのような議会活動をめざすのかについては、必ずしも具体像を描き切れていないようだ。

 議決権を委ねられた代表として、議案についての賛否を個々の議員ごとに公開することは当たり前のはずだが、現実は正反対。議決の大半は起立か挙手で行われるが、その場合にすべての議案について議員個々の賛否を公開している議会はわずかだ。

 合議制の代表には、公開の場での討議によって賛否の論点を示すことが期待されているのに、「議員同士の討議を行っていない」と回答した議会は8割を超える。

 市民が議会の議事に参加できる機会もいまだに乏しい。謂願の代表者に説明の機会を与えている議会は4分の1に満たない。参考人や公聰会などの制度もあまり活用されておらず、議会は議員と行政だけが活動する場という意識がまだまだ根強い。

 議会報告会など、市民と直接対話をする機会を設けた議会は130に過ぎなかった。改革の必要は認識しながらも、市民と直接向き合う姿勢はまだ+分に広がっていないのが実態だ。

 公開の場で討議を行い、その過程を市民に見せた上で結論を得るのが合議制代表機関に課せられた責務である。それをどのように果たすのか、市民に直接向き合い、具体的な活動を通して現状を変えていくことを期待したい。