川崎市議会での請願審議の問題点〜討論がない〜


川崎市議会で筆者の請願が審議され、「継続審査」になったことは既報。
2008-03-14 速報!川崎市議会へ提出した請願の委員会審議結果
http://d.hatena.ne.jp/goalhunter/20080314/1205506345

請願の趣旨は「請願の審議において、提出者に発言の機会を与えること」である。


今回の審議の最大の問題は、意見の対立があったにも係わらず、“討論”がなかったことである。


各会派の意見を紹介してコメントを付ける。

1.不採択理由 自民、公明共に同じ理由
1)参考人聴聞制度等、議会として必要なとき、意見を聞くことが可能である
2)提出者からの事前補足説明等は受け付けており、意見を聞く機会はある
3)陳情、請願の数が多く、現状は審議をこなすことが優先である

2.採択理由 共産党
1)教育委員会では意見陳述の制度がある
2)議会改革の一環として市民参加の道をつくる

3.継続審査理由 民主党
1)不採択の意見が強いが、開かれた議会を目指す必要もあり検討が必要である

筆者コメント

1)“議会への市民参加”の第一歩と位置づけた請願であり、先ずは各会派の意見が公になったことに意義がある。今後も公の場で議会改革に対する意見を開陳させるように機会を作りたい。

 今回、明らかになったことで一番重要なことは、“討論”がなかったことである。明らかに意見の対立があり、各会派が意見表明をおこなったにも係わらず、議論しようとする態度が皆無であった。にそれにも係わらず、全員一致の規則から委員長が継続審査を提案して全員が了解、これが現状の議会の姿なのである。ねじ曲がった過程である。


2)採択理由については筆者と基本的に共有するものであり、今回の審議からは共産党が議会への住民参加に積極的であることがあきらかになった。更に民主党の一部にも同様の考え方があることが示された。

 なお、今回の議会運営委員会では、神奈川ネット及び猪股議員(無所属)が外れており発言の機会がなかったことは残念である。しかし、請願提出の際に署名を頂き、基本的に採択の立場であることを伺っている。


3)不採択理由については、議員としての立場のみを考え、市民の立場に考えが及んでいないことを指摘しておくに止める。

 先ず、「参考人聴聞制度等」は議会側が活用する制度であり、一般市民は使えるものではないし、その存在も知らされていない(川崎市議会HPには記載されていない)。更に、利用された例は皆無ではないが、積極的に活用されているわけではない。

 次に、「提出者からの事前補足説明」であるが、これは制度でも何でもない。提出者が自らの時間を削って非公式におこなっている、それも会派回りで同じことを何回もやらされている!提出者のサービスであって、提出者からすれば、坊ちゃんの心理である。(『向は一度で済む、こっちは同じ所作を十五繰り返している。少しはひとの了見も察してみるがいい。』(「坊ちゃん」二 夏目漱石)。議員はその上に安住しているに過ぎないし、それを当然のこととしている処に問題がある。

 更に、「陳情、請願の数が多く、審議を優先」に至っては笑ってしまう。数が多いのであれば、もっと加速して審議をおこなえば良い。議会を開催しているのは年間高々50−60日程度ではないだろうか。このようなスカスカの日程で、更に審議をおこなえるはずであるのに対して、自民党公明党もよく言えたものである。量的な問題で質的向上を否定することは全く筋違いである。